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ケリー・ボーガー (Kelley Borger)について

ジェイソンと私は、2002年5月25日、モンタナ州のBozeman近効の山の中で結婚式を挙げました。

モンタナは、私達にとって子どもの頃から夏を過ごした、丁度、第2の故郷のようなものなのです。 そこは私が初めての魚を釣り上げるのに最も相応しい場所でした。それに、ジェイソンもわずか2歳の時に同じその場所で、初めてのトラウトを釣り上げていたのです。

どんな人にとっても、初めて経験するという事は、とても楽しい事だと思うのです。たとえプロと呼ばれる人たちにとっても。それは私でさえ、うきうきする事でしたが、ただ、名フライフィッシャーである夫の期待の眼差しを受けながら、最初のトラウトを釣り上げるという緊張感はありましたけど。

そして、私達はハネムーンの地をモンタナ州にあるPotosi Hot Spring (www.potosihotspring.com)と呼ばれる場所にきめたのです。Tobacco Root Mountainsの美しい景色の中をフライフッシングをする所まで馬に乗って行く時間は、二人が大好だった色んな思い出話をするには、 うってつけの道のりでした。

そしてその日、私達は私のFirst Fishを求めてSouth Willowへと出発しました。ジェイソンはいつに無くそわそわしていたようですし、 私は彼のフライフィッシングへの溢れるほどの情熱をこの手で感じようとしていました。 ジェイソンがロッドとリールの取り付けを手伝ってくれた後、二人は彼の父であるゲーリー・ボーガーが結婚祝にと私にプレゼントしてくれた、 ゲーリーの手作りのフライがいっぱい詰まったフライボックスの中から、あの有名なロイヤルウルフを選びました。

"First Fish" artwork by Jason Borgerついにその時がはやって来たのです。私はSouth Willow川と呼ばれる小渓流で、初めてのトラウトを釣り上げる準備は整ったのですが、“First Fish” というプレッシャーでドキドキしていました。『もし、何も釣れなかったら?』とか『もし、キャスティングやメンディングのこつを全部忘れてしまったら?』とか。でもジェイソンが辛抱強くインストラクターとして、私がトラウトを釣り上げられるよう全力で助けてくれたので、必要以上に不安な気持ちになることはありませんでした。

その名前の由来の通り、South Willowには、川岸に太い柳の木がびっしりに並び、水をたたえています。これはフライフィッシャー達には迷惑この上ない物のようで柳の枝に、たくさんのティッペットやフライがぶら下がっているのを見れば理解できます。私もトラウトだけを釣り上げることだけでなく、私の背後にある柳の枝にひっかけてしまうのではないかとヒヤヒヤでした。

私はSouth Willowの中の小さな丘を囲むように分岐して流れるあたりに、小さな空き地を見つけました。その丘に近い側には、赤と、青みがかったグリーンのきらめきをした深い淵があったのです。私の胸の鼓動は高鳴りはじめ、最初のキャストを試してみたのです。そして2回目、3回目と繰り返しました。技術としては完全なものではありませんでしたが、それでも3回目のキャストで私は初めてのレインボートラウトを釣り上げたのです。

私の全ての緊張のエネルギーは川の流れに乗って消え去り、熱狂的な興奮に変わりました。それは、ジェイソンと私にとって記念すべき出来事でした。彼をそれほどまでに情熱的にさせてしまうフライフィッシングについて、私が実際に見たり、聞いたり、感じたりすることができた初めての瞬間だったのです。私は水辺の美しい景色や、音や香りがいつも大好きでした。でも、私がはじめてのトラウトを釣り上げたスリルには、比べものにはなりませんでした。

ケリーのファーストフィッシュ私はできるだけ注意深くトラウトをリールでたぐり寄せて、トラウトへ向かって身をかがめました。小さなレインボートラウトだったけれど、見たこともないくらい美しい魚でした。私はその黒味がかった斑点と赤やブルーやグリーンのメタリックなきらめきを決して忘れることはないでしょう。傷をつけずに川に放してあげる為にやさしくそのなめらかな胴部をつかんだ時、 私はその魚が何て穏やかなのだろうと驚かされました。トラウトはきらめきと共に瞬く間に私の手の中から去って行ってしまいました。 この穏やかな触れあ いによって、私はジェイソンから”魚にささやく人”というニックネームをもらうことになったのです。

殆んどの釣り人が度重なる経験から知っていることとして、魚たちはできるだけ釣り人から離れた所にいようとするのですが、魚がまるで初心者である私を見抜き、近寄ってきたように見えたのです。

私は私にとって初めてのトラウトを忘れないでしょう。そのできごとは、ジェイソンをより身近に感じ、より深く理解することになりました。そして、私の心の中で新しい情熱が生まれたのです。それは私がフライフィッシングで初めてのトラウトを釣り上げることができたという美しくも穏やかな経験のお陰です。


ケリー・ボーガー (Kelley Borger)

訳 石川美代子




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