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ジェイソン・ボーガーのFFテク 〜 フライデリバリー 第二部 〜 《上流方向編》
ジェイソン・ボーガー (Jason Borger)について 第二部では、上流方向へのフライデリバリーの基本的アプローチを検証したいと思います。 「上流方向」の定義は、対岸に向いて川岸に立つアングラーの正面線(川の流れを真っ直ぐに横切る線)から流れに対して平行の最上流方向までの90°の範囲とします。この範囲内でのフライの動きは、アングラー自身に向かってくるものになります。フライフィッシャーにとって一番の敵、特に水の流れに関して言えば「ドラッグ」でしょう。この「ドラッグ」を回避する方法として、私の父、ゲーリー・ボーガーは「ラインにかかる全ての流れの影響がドラッグの原因となる。ミラーイメージを意識したラインメンディングがなされるべきだ。」と言っています。 例えば、流れがラインを左方向へカーブを作りながら引っ張る場合、メンディングによって、右側に同様のカーブを作ります。中心線を鏡として反対側に同様の弧を映し出すのです。 上流方向へのデリバリーでは、完璧なミラーイメージを作ることは困難かもしれませんが、「パドルメンド」や「リーチドパドルメンド(左右両方向)」を用いることにより、十分それに近い状態を作り上げることが出来ます。 「パドルメンド」「リーチドパドルメンド」は共に、空中で行う(キャスト後でラインが着水する前)メンディングです。これらのテクニックを駆使すれば、上流方向に釣りをする場合のフライプレゼンテーションをとても容易にしてくれます。 ラインの着水時には、すでにドラッグを回避しており、すぐに釣れる状態になっているのです。 基本的なパドルを作るためには、まず高い位置を狙ったオーバーヘッドキャスト(高めのフォワードキャストを作るために、バックキャストの水平軸を少々下方向にアジャストしても構いません)をします。そして、フォワードキャストを止めた瞬間、前腕を落とし、ロッドティップが水面に付くか付かないかくらいの位置に下げます。 腕の下方向への動きは、本質的には空中でのリーチメンドの下方版という事になります。結果として、いくつものSカーブ(パドル)がライン上に形成され、ドラッグ(特にマイクロドラッグ)に対抗してくれます。実際に何回か練習してみてください。キャストにどれくらいの力をかけるか、キャスト後どれくらいで下方向の動きを加えるか、 そして、どのくらいの速さで下方へのリーチを行うかなどをいろいろと変化させ、それらがどのようにライン形成に影響するのかを体で覚えるのが一番です。 パドルメンドにおいては、フォワードキャストの角度がラインにどれだけのパドルを形成するのかに大きく影響します。角度がより上方向へきつくなるにつれ、ラインはより多くのパドルを、そして、角度が少なくなるにつれ、パドルは少なくなります。付け足しとして、フライをターゲットに届かせるために、少々多めにラインをシュートする必要があります。
これは連続するSカーブによるスラックライン分の距離を補うためです。オーバーヘッドスタイルのパドルメンドはとても役に立ちます。しかし、このパドルメンドはエクリプス(楕円の)キャストを基礎として、違うレベルのキャスティングへと発展させることが出来ます。「エクリプスキャスト」(別名、ベルジアンキャストとも呼ばれる)は、そのバックキャストを横外方向のサイドアームの位置(ピッチャーのサイドスローのような位置)に持ってきて、 フォワードキャストは更に高いオーバーヘッド位置へとキャストするのが特徴です。バックキャストとフォワードキャストの角度は状況によって異なります。エクリプスキャストにおけるフォワードキャストは、非常に高い位置を目標とした角度で行い、ドラッグに対抗するためのパドルをかなりの量作り出すことが出来ます。 エクリプスキャストははじめから終わりまでを、まるで円を描くかのように、非常にスムースに行うのが理想的です。コツは、バックキャスト→ポーズ(一時停止)→フォワードキャストというそれぞれの動作への移り変わりにあります。フォワードキャストとバックキャストの間のポーズ(一時停止)時の半円を描くラインの動きが、 一定のテンションをラインにかけることとなり、キャスト、ポーズ、キャストという動作の移り変わりをよりスムースに行えるようになります。 父のゲーリー・ボーガーが、メル・クリーガーから紹介されたこのエクリプス/パドルコンビネーションを私に教えてくれました。このキャスティングは上流方向のドラッグに対抗するには非常に効果のある素晴らしいテクニックで、 多様なパドルを比較的容易に作り出すことが出来るのです。 私がエクリプス/パドルコンビネーションを上流方向アプローチのもっとも効果的な戦略方法だと考察する中、欠点ももちろん存在します。目標とする魚の直下流から釣る場合、ラインが魚の頭の真上に着水してしまいます。もし斜め方向のアプローチが出来るのであれば、 これはさほど気にするべきことではありませんが、いつでもその様に自分を位置することは可能ではありません。その様な場合こそ「リーチドパドル」の出番です。 リーチドパドルを行うには、単純に右または左方向へリーチしながらパドルメンドをすれば良いのです。右リーチ(若しくは左リーチ)を行うには、オーバーヘッドキャストを行い、すぐに腕を右方向(若しくは左方向)へ伸ばし(若しくは自然にロッドティップが右方向または左へ倒れるようにします)、水平になるところで止めます。ラインは右方向(若しくは左方向)へ着水します。 ここでフライを目標位置に届かせるために、ラインをシュートすることを忘れてはいけません。 パドルとリーチを組み合わせる場合、腕の動きは左右どちらかの横方向への動きと下方向への動きが同時に行われるということになります。 リーチドパドルはフライを目標位置に送り届けながらも、魚の真上にラインがまたがることを回避し、また同時に、障害物を避けるということもできます。 例えば、水草の塊の上流に魚が位置しており、あなたは直下流からアプローチしているとしましょう。キャストして水草の真上にラインを置くとしましょう。おそらく、マーフィーの法則的なことが起こるでしょう。魚がフライをくわえず、あなたはフライをピックアップし、再度キャストしようとします。そしてその結果、あなたは10キロ近くの水草の塊を釣り上げ、 どうにもならなくなってしまいます。リーチドパドルを使った場合、あなたは水草の横にラインを置き、同時にドラッグに対処でき、そして大方の場合、アングラーの苦悩(根掛りなど)から解放してくれることでしょう。 リーチドパドルはあなたの位置するところから流れをまたいでアプローチする時にもとても役に立ちます。特にその有効性を発揮するのは、反対側の流れの緩やかな淵際に魚が位置しており、その手前の速い流れをまたいでアプローチしなければならない場合です。リーチドパドルを使えば、リーチメンドとパドルメンド両方によるマイクロドラッグの回避を行うことが出来、
より効果的に魚にアプローチできるようになります。私自身が上流方向へのフライデリバリーで困難に対峙したとき、多用するのがリーチを少しだけ加えたリーチドパドルメンドです。とても効果的です。私のキャスティングクラスやセミナーで上流方向のアプローチを教える時、私が必ず生徒に言うことがあります。それはフライフィッシングする上で、多かれ少なかれ、必ずメンディングの必要性が出てくるということ、そして、メンディングを習得する上で、必ずと言って良いほどマスターしなければならないものが、このパドルとリーチメンドです。 何百回、何千回と練習を積み、自分のものにすることが必要です。 上流方向のアプローチの際、忘れてはならない事がひとつあります。フライが自分に向かって流れてくる時、余分なラインをストリップするか、ロッドティップを上げることにより処理しなければなりません。もし、ストリップするのであれば、次のフォルスキャストのために、余計にラインを引き込まないようにすることです。 フライが魚を通り過ぎたらすみやかにフライをピックアップし、次のキャストへと移行するべきです。 リーチドパドルメンドはそれ自体でとても効果的なテクニックですが、それ用のカスタムリーダーを用いることにより、さらに効果を強めることが出来ます。 単純でドラッグに対抗出来るモノフィラメントのリーダーで、十分キャストできるリーダーのデザインは、5ウェイトライン用では、4フィートの0.020"、1フィートの0.013"、1フィートの0.010"(1X)、2フィートの0.007"(4X)、2フィートの0.006"(5X)となります。 このリーダーデザインの基本は私の父、ゲーリー・ボーガーのユニボディーデザインであり、ジョージ・ハーヴィーのヌードル・リーダーが基になっています。非常に複雑なドラッグが掛かる場合に対しては、0.020"のセクションを5フィートに、0.13"のセクションを4フィートに、1Xのセクションを2フィートに変更します。 このリーダーの目的は目標地まで真っ直ぐと伸びるのではなく、水面にS字を描くものです。 上流方向の釣りは特別複雑なものではありません。私がいつも言うように、「それらをマスターするのは困難ではないが、マスターする事により困難と対峙する事が出来る。」のです。時間をかけて練習をするべきです。そしてその練習から学び取る事で、あなたをより完成されたフライフィッシャーに育ててくれる事でしょう。 ジェイソン・ボーガー (Jason Borger) (訳 アレックス前田) 最新のコラム: 〜 「ショットガン」テクニック 〜 過去のコラム: 〜 フライデリバリー 第二部 《上流方向編》 〜 〜 フライデリバリー 第一部 《下流方向編》 〜 |
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